はじめての登山

〜ともしびでテント山行に参加するにあたり〜




1.はじめに

 ともしび山岳会の山行は、ハイキング、1泊2日〜3泊4日の縦走、沢のぼり、冬山とあらゆる山行が1年を通して 計画されています。このページでは、ともしび山岳会に入会して初めて1泊2日〜3泊4日のテント縦走に参加する時に準 備しておかなければならない必要事項をまとめました。


2.プラン

(1)参加申し込み
 通常、リーダーとなる人は2週間前から1ヶ月前に「ともしびニュース」や「メーリングリスト」を通して山行計画を発表し、 メンバー募集を開始します。スケジュールや山行ルート、募集人数、参加条件が募集案内に記載されるので、希望者は1週間前くらい までにリーダーへメールまたは電話で申し込みましょう。ただし、行ってみたいからといって漫然と申し込んではいけません。申し込 む前に次の下準備が必要です。

①山域、グレードを調査しましょう。

 募集案内には山行ルートを載せています。地図はもちろんのこと山渓、岳人などの雑誌やアルペンガイドから、ルートの情報を 入手しましょう。そして、これらの情報から自分の体力・技量で大丈夫かどうかを確認しましょう。また山行によってはエスケープルート が確保できない場合もあります。

②装備の事前確認をしましょう。

 自分が持っている個人装備が、申し込む山行に耐えうる物かどうかを確認しましょう。あわせて靴やレインウェアンウェア、 ザックなどに損傷はないかなども確認しましょう。故障に気付いてキャンセルにならないように。

③チャレンジ精神も時には必要です。

 アルペンガイド等で調べたら、自分ではとても行けない…と思う場合もあるかもしれません。ベテランのみが許される山域もありますから、 この場合はあきらめるしかありません。しかし、1ランクレベルアップした山域や山行でしたらチャレンジ精神で申し込んでみましょう。自分の レベルアップになりますし、下山した時には大きな満足感を与えてくれるはずです。
 リーダーもチャレンジ精神で申し込んでくる人は大いに歓迎す るでしょう。ただし、リーダーとよく相談し、了解を得てください。リーダーが参加を許可してくれるか、許可しないかは、そのリーダーがあなた をどれだけ知っているかによります。そのためには普段から積極的にともしびの山行へ参加してください。これは、先輩方にあなたの体力や技量を 知ってもらう機会をつくることになりますし、あなたも先輩を知る機会になります。また山行以外でも、例えば例会後の飲みなどで先輩に自分を 知ってもらうように心がけましょう。

(2)準備会
 山行前の準備会に参加しましょう。準備会ではコース・メンバーの紹介や役割担当・装備準備の指示がリーダーから言い渡されます。準備会に 参加できない人はリーダーが後日連絡を取りますが、準備会は山行に参加する人の義務なので、できる限り準備会に参加しましょう。通常は、山行直前 の例会の後に準備会が行われます。

3.役割

 参加申込者には、リーダー(CL)から以下の役割分担が指示されます。観光旅行ではありませんから、きちんと役割を認識するようにしま しょう。

①サブリーダー(SL)

 サブリーダは、リーダーに事故があった場合にリーダーに代わって指揮を執る役目です。サブリーダーに任命された場合は、この点を十分認識して 下さい。主にサブリーダーは、1.コース、危険箇所の把握、2.食料、燃料、水、メンバーの体調等の把握を行います。そしてサブリーダーは、リーダー が今できていないこと、つまり自分がサポートすることは何かをいつも考えて山行を行って下さい。

②装備係

 パーティの共同装備を管理する係りです。山行前リーダーより必要な共同装備(テント、ストーブ、コッヘルなど)の指示がありますから、これら を手配します。通常、共同装備は会員が個々に保管しています。毎月のニュースと一緒に共同装備を保管している人の一覧表が配布されるので、保管してい る人へ連絡して装備を渡してもらいます。また保管している人が不明の場合は、会の装備担当や全会員へメールで所在を問い合わる場合もあります。一般に 装備の受け渡しは例会の時に持ってきてもらうようにお願いしますが、場合によっては宅急便で送ってもらうこともあります。このとき、宅急便は着払いで 送られますので、山行終了後に会計係に清算してもらいます。
 山行後、会の共同装備を誰が持ち帰ったか装備担当へ連絡してください。また共同装備に 破損が見つかった場合も、装備担当へその旨を伝えます。装備担当から修理方法の指示があります。

③食当係

 パーティの共同食料(朝食、夕食)を準備・管理する係りです。なお食糧計画は山行の方針と密接に関係してきます。例えばリーダーが極力軽量化した いのか、それほどこだわらないのか、またどの程度メンバーの体力があるのか、朝、早出する必要がある日があるのかどうか、水が豊富かどうか、燃料の節約 はどの程度必要かを考える必要があります。基本方針に関してはCL、SLとコンセンサスを取りましょう。

◎食料のポイント
・軽量化する必要があるか
 長期山行の場合は、食料も軽量化し、保存のきくメニューを考えましょう。また、朝は早出となりますので朝食は短時間で調理可能なメニューにする必要 があります。のんびり山行だと、ちょと豪華なメニューにすればメンバーに喜ばれます(ただし、予算、重さも考えて)。
・水が豊富かどうか
 豊富な水を選られるテン場ならメニューもバラエティーに富んだものになります。しかし水が豊富なテン場はごくわずかで、飲み水とは別に調理用の水も 担ぎ上げる場合がほとんどなので、水をあまり必要としないメニューを考えましょう。
・メニューは適切か
 全員が美味しく食べられる(疲れているひとも無理なく食べられる)メニューを考えてください。特殊なメニューは好き嫌いの原因となり、エネルギーも満 足に補給できないことになるので避けます。メニューの選考は諸先輩の知恵を拝借するとよいでしょう。
・食事の量(カロリー)は適切か
 食べる量は人それぞれです。あまりものの処分ほど困る物はありません。ともしびの山行を通して夕食、朝食の量を把握してください。自分が大食いだと思う 人は、夕食、朝食とは別に自分で食料(おやつ、つまみなど)を持ち、調整するようにしてください(通常、一食一人当たりのお米は0.7合が目安です)。

④会計係

 山行の予算を管理します。通常は山行が終了した時点で、各担当が支払った費用(食費、交通費、共同装備の宅急便費用、テン場使用料etc)を会計が集計 して、参加者全員に均等に負担してもらうように清算します。山行によっては先にお金を集める場合もあります。なお会員の車で移動した場合は、全員で頭割りする ガソリン代、高速道路代とは別に、車提供者に洗車代と謝礼の意味で車代(※1)を支払う必要がありますので、参加者から徴収します。
 ※1 同乗者は,1人ずつ車提供者へ所定の額を支払う(200kmごとに1人500円払う。 400km以下なら1000円、600km以下なら1500円・・・)。

⑤医療係

 パーティ全体の体調管理ならびに緊急処置を行います。主に以下のことを行います。

a)想定される怪我、病気の予防日焼け、エキノコックスなどの予防。虫さされの予防。凍傷、雪目の予防。

b)メンバーの怪我、病気の処置バンドエイド、包帯、三角巾、かぜ薬や腹痛・下痢止、かゆみ止めなどの医療品目の携行。トゲ抜きやピンセットなども必要になります。

c)消毒液の管理 マキロンなどの消毒液。傷口を洗うためにウェットティッシュがあると便利です。

⑥気象係

 気象係の役割は次の通りです。
・入山時期のその山域の天候調査
・入山前の地元へ雪、雨量などの問い合わせ
・入山前の天気の推移の把握
・携帯用ラジオ、 天気図の携行
・天気図、観天望気による予報日帰りや1泊2日程度の山行では、天気予報で十分ですが、長期山行では、天気図を作成して天候を予測することになります。

⑦記録係

 山行記録の作成が役割です。露営地の出発、到着時刻、主だったピークなどの到着時刻を記録します。下山後はコースタイムや特記事項をまとめて山行報告書とし、ともしび ニュースに載せます。参加者全員から一言をもらって、山行報告書をまとめます。まとまった報告書はニュースに載せてもらうようにニュース編集担当に連絡します。


4.準備

(1)個人装備の準備
 リーダーから配布された山行計画書に個人装備が記載されているので、これをもとに装備を準備します。わからない装備や準備できない装備がある場合は、リーダーに相談しま しょう。また場合によっては、先輩から貸してもらいましょう。主な装備は次の通りです。

ザック(60リットル以上)、登山靴、シャツ、ズボン、帽子、サングラス、ザックカバー、シュラフ、シュラフカバー、エアマット、雨具、スパッツ、防寒着(フリース/セーター)、 着替え、ヘッドランプ、替電池、替電球、食器セット、ナイフ、水筒(2リットル)、ペン、地図(2万5000分の1の地形図)、コンパス、マッチ・ライター、 トイレットペーパー(食器ふきとトイレ用)、軍手、新聞紙、持病のためのくすり、細引き(細い紐)、健康保険証、温泉セット

 など初めての山行では、余計なものは極力持ってこないように考えてください。山行中は、個人装備以外にテントなどの共同装備や食料・水を担ぎ上げなけれなりません。

(2)行動食、非常食、予備食、お酒
 ともしびでは、基本的に昼食のための大休止はとりません。休憩の都度、行動食を摂るようにしています。行動食は、山行が予定どおり火を使わずに食べられ、カロリー の高いものがよいです。非常食は、遭難した場合のものになります。行動食とは別に用意し、日帰りハイキングでも必ず持参します。予備食は、長期にわたる縦走などで、計画 通りに進まかったときに使用する予備日の食料のことです。合もあります。 お酒は個人で必要な量を用意します。ただし量は程々に。


(3)有給休暇の申請
 山行によっては計画通りに進まない場合もあります。リーダーから予備日の指定があった場合は、予備日を含めて休暇を取るようにしてください。


(4)山に行くことへの通知
 家族や、会社の上長/同僚に山に行くことを知らせておきましょう。まさかの場合に必要になります。 なおリーダーは、以下の場所に山行計画書を提出します。

①ともしび山岳会の会長(又は副会長)
②ともしび山岳会の在京本部
③地元警察(入山届を登山口ポストへ)

 ともしび山岳会では、山行計画書に記載された最終下山時刻を過ぎても在京本部へ下山通知がない場合に会長を中心に遭難対策室が設置され、地元警察や家族との連絡、 捜索隊の派遣などが行われます。

5.登山

(1)時間
 ともしびでの山行ペースは、おもに登り40分から50分、下り50分から60分で10分の休息になります。

(2)出発時刻
 リーダーは何らかのトラブル(怪我、ルートミス、バテなど)があった場合に時間に余裕を持たせるため早出を心がけます。このため、夏冬ともに夜明け直前・直後に歩き 始めるのが通常となります。そして起床は出発の1.5〜2時間前となります。 テント山行に慣れていない初心者は、先輩に比べて出発時刻に遅れがちになります。先輩がゆっく りしているからといって自分もゆっくりして出発時刻に遅れないように注意しましょう。

(3)大休止(昼食)
 ピークや見晴らしの良いところでは、昼食のためゆっくりと休む場合があります。この時、リーダーが大まかな出発時刻を知らせるので時間厳守を心がけましょう。

(4)到着時刻
 14時または15時に露営地または下山口に到着するように、先頭を歩くサブリーダーもしくは、リーダーがペースを決めます。

(5)露営
 テン場に着いてやることは何でしょう?テントの設営、水の確保、天気図の準備、怪我、病気の治療、登坂道具の調整、炊事の準備などです。  役割担当でなくても、手が空いている時は手伝いましょう。

(6)翌日の連絡
 食事後、リーダーから翌日の起床時刻および出発時刻が連絡されます。これを厳守しなければ翌日の行程がスタートからずれることになるので、注意しましょう。

(7)就寝
 夜は酒が欠かせません。この一時は1日の疲れを癒すなによりの楽しみです。ただし、深酒で翌日の行程に差し障るようでしたら困ります。 明日の目的地と起床時刻、出発時刻を考え、就寝時刻を守りましょう。


6.下山 お疲れ様でした

 下山口に到着後、リーダーは在京本部へ無事に下山したことを連絡します。このあと、温泉入浴や食事を取って帰京することになります。